Mar 22, 2010

下田でわしも考えた

先週末下田に出かけた。下田の街は河津桜目当ての宿泊客もとうに去って、好天にも関わらず閑散としていた。

そこで私は単純にして重大な、人生の真理に行き当たったような気がしている。それは「目的をあらかじめ明確化した方が、概して満足度が高い」ということである。

計算機科学などの世界において「アプリケーションを明確化した方が研究の意義が高まる(そしてそこで言うアプリケーションは多分その研究に興味がある間は決して見つからない)」と言い尽くされてきたことを、ここで繰り返したいわけではない。そうではない。

それを説明する前に下田の街のある飲食店で我々がした体験について説明しておこう。

下田プリンスホテルの素泊まりプランで宿泊していた我々は、夕刻になってからバスで下田の街に出た。駅前を散策してソフトバンクショップで私用電話をしていた店員のお姉さんからホワイトデーのチョコレートを拝領した後、港に程近いとある飲食店に入った。そしてそこでおまかせコースを注文した。次から次へと運ばれてくる料理。それは十分においしいものだった。が、気になることもあった。

第一に我々の金目鯛の煮付けの金目鯛が、左隣の客の金目鯛の煮付け定食の金目鯛よりかなり小さかった。第二に我々のお造りが、やはり左隣の客の刺身定食のお造りより分量がずいぶん少なかった。まさか。おかしいではないか。

いや冷静に考えればおかしくはない。おまかせコースはそれぞれの料理をちょっとずつ提供するメニューなのだとすれば、今起きている現象はむしろ自然である。そう納得しつつもなぜか若干の不本意感を抱えてホテルに戻ったのだった。

我々の体験から言えるのは、もしあらかじめ我々が金目鯛の煮付けが食べたい、刺身が食べたい、刺身の中でも○○を食べたいと目的を詳細にイメージできていたならば、より的確なメニューを選択できたはずであり、その食事からより多くの満足を得られたはずである、ということである。つまり我々が十分な満足度が得られなかったのは、目的をあらかじめ明確化できなかったためである。

しかも、これはこのお店でのこの一回の食事に限ったことではないのである。これまで生きてきて何千回、何万回にもおよぶであろうメニューの選択の機会において、私はいったいどれくらい不本意でない選択を意識的に行えてきただろうか。あまり割合は高くないような気がする。頭がくらくらしてくる。

あなたはこんな経験をしたことはないだろうか。食事をしようと商業ビルの最上階の飲食店街に足を運び、どれもぱっとしないなーと思いながら全部の店のメニューを見て回り、結局あんまり客が入っていない店と行列していて待たなければならない店を避け、特に食べたい気がするわけでもない店に入り、一行目か二行目に書かれたメニューを無難そうだからという理由で注文し、あまりの不本意な結果に彼女との会話が滞りがちになって困ったことはないか。次は失敗しまいと「ここなら何でもあるからー」とか何とか言いながらフードコートに行き、(中略)結局次のチャンスはなかったということはないか。よく考えなくてもフードコートにまともな飯を食わせる店がないことくらい見当が付きそうなものだ。

正しいやり方はこうだった。まず何を食べたいのかイメージする。そしてそのイメージをなるべく詳細化する。そして混んでいない店を選ぶ。

次からは間違えない。おまかせではなく金目鯛の煮付け定食を、刺身定食ではなくイカ刺し定食を、ミックスフライ定食ではなくアジフライ定食を、デニーズではなくサイゼリアを選ぶ。

そういうことを下田で考えた。


写真は本文と関係ありません。トミヤコーヒーのキャラクターがあまりに憎らし愛らしかったので。

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