May 2, 2009

GRAN TORINO

アメリカの良心と呼べる映画に何年か一度遭遇する。これがその映画。

映画『グラン・トリノ』オフィシャルサイト

まだ観ていない人も多いと思うけど、観賞後の最初の私の感想は、つまり主人公はアメリカ、アメリカ人だってことだ。この映画にオスカーを与えないとしたら、そんな「アメリカの賞」にはきっと意味がないだろう。

戦争を始め、自動車を作り、ずっと作り続けてきたのでそこそこ資産(工具=工場=生産設備)もあり、人種偏見を隠そうとせず、周囲から疎まれ、かと言って宗教におもねることもできず、気まぐれに(しかし自らの振る舞いが招いた結果でもある)マイノリティを引き受けたものの、守ることもできず、良かれと思って行使した武力・暴力がむしろ悲惨な結果を招く、そんな国、アメリカ。

物語では、そんなアメリカを象徴してきた主人公が死期を悟って一人の男に戻り、すべての落とし前をつけ、次の世代に希望を託す。陳腐と言えば陳腐な物語だが、ちゃんと落とし前をつける国であって欲しい、次の世代こそより良いアメリカを築いて欲しい、というアメリカ人特有の素朴で楽観的な願望が表現されているように思えて、妙に腑に落ちる。この陳腐な物語が、イーストウッド本人の「俳優としての死期」にも符合している点も余韻として心に残る。

「映画」として観ると、この作品はやはり予算が足りていなかったように思う。ほとんどのシーンで適切なカットが撮られていて安心して観ていられたが、隣人が町中で黒人二人組に絡まれる場面は危うかった。あのシーンを映画的なシーンとして描くためには、関係者以外の第三者の視点のカメラが必要だった。あとはほとんど唯一の映画的なシーンだったはずの落とし前の場面。やはりカメラが足りていないために相手から見た主人公のカットがほとんどなかった(視点はずっと主人公の近くにあった)。臨場感に欠けてしまったし、観衆は建物の構造も理解できなかった。これらの点を除けば、十分と言ってよい出来だと思う。

それにしても六本木ヒルズで観たんだけど半分も席が埋まっていない。いったいどういうことよ?

About Me

My Photo

つくばで働く研究者

Total Pageviews

Amazon

Copyright 2012 Ogawa::Buzz | Powered by Blogger
Design by Web2feel | Blogger Template by NewBloggerThemes.com