Mar 16, 2007

水に流してもらいたい

声に出して読みたい戯言。

中日新聞ホームページへようこそ

<東京カフェ>水に流せない
農林水産省が、海外の“正統”な日本料理店の認証制度を検討しているという。独自に解釈されたおかしな料理を、和食と名乗られては困るということなのだろうが、外交上の相互主義の立場から考えると、大きな問題をはらんでいる。
レバニラいためや、野菜いため、ギョーザが定番の大衆中華料理店。もし、これに中国政府がクレームをつけたら、外食産業はパニックとなるに違いない。スパゲティ・ナポリタンは論を待たず。独特の食文化で知られる名古屋に行ってみれば、スパゲティ・「イタリアン」とか「台湾ラーメン」だとか、もう、突っ込みどころは満載。
つまり、海外の食文化を換骨奪胎して、オリジナルと離れたメニューを作ってきたのは日本だ。自国の料理にだけ注文をつけるのは、少し身勝手な気がする。
しかも、認証制度の旗を振る松岡利勝農相は「水道水を飲んでいる人は、ほとんどいない」と発言。水道水をおいしく飲めるのが日本の自慢だし、そもそも、きれいな水を生む森林を涵養(かんよう)するのは、農相の役目だ。食文化を論じながら、食の基本となる水を軽視する態度は、いかがなものか。不透明な事務所費問題とあわせ、水に流せない。 (浅田晃弘)

ちょっと声に出して人に聞かせてあげたい(笑)。私が強いて言うとすれば、「名古屋をバカにするな、バカ飯文化は名古屋だけのものじゃないぞ」ということくらいである(笑)。

ついでに野暮は承知で言わせてもらうと(このエントリーはその野暮が目的なのだが)、私はその認証制度だか認定制度だかにはまったく反対である。

明らかに不要である。この認定制度がすぐに打ち切りになって忘れられてしまうことはあまりにも目に見えている。なぜならそれはこの制度に費用対効果がほとんど、あるいはまったく期待できないからだ。

この制度の対象となるレストランは、調査予算の制約上、高級な部類に入るものに限られる。制度によって損害を被るものもまた高級な部類に入る店であって、非認定であることが死活問題となり得る店である。制度に実際に「効果(らしきもの)」を求めるなら調査対象にこのようなクラスのインスタンスを選ばなくてはならない。言うまでもなく制度の信頼性を損なうには「日本食と称してろくでもない料理を出している」超有名店が一例あれば十分だからである。

しかし、そう選択したとしてそのような(認定・非認定の)高級店は海外の日本食レストランのいったい何パーセントを占めるだろうか。1%にも満たないのではないか。白いベニハナか黒いペニパナか区別できるだけで残りのほとんどのレストランは調査対象にもならないのでは、制度による効果など何もないに等しい。あるいは調査の信頼度を下げて調査結果を濫造・捏造すれば(この店はオーナーが日系3世だからオッケーとか、10年前の地球の歩き方に出てたからオッケーとか)パーセンテージを上げることはできる。その場合も全体として得られる情報量はほとんど変わらない。

こんなことは明らかである。なのに、制度に支持や理解を示す人がネット上にあまりに多いのには正直クラクラしてくる。Reputation Systemは、近頃かますびしいCGM (Consumer Generated Media)とやらの得意分野なのではなかったのか。

食のナショナリズムだという海外からの指摘が的外れなのは分かっている。記者の功名心や部数・視聴率競争が事実を捻じ曲げるのはよくあることで、正直なところ海外での受け止め方がどうなのかは分からない(というよりあるメディアであまりに極端な意見が述べられた場合、その話題は多数には普通にスルーされているのだと考えるのが正着打に思える)。むしろ重要なのは、国内で政策として国民に理解できるように説明することと、全世界の日本食レストランの経営者・従業員・利用客に誤解なく理解できるように説明することとはまったく異なるということ。陳腐な言い方をすれば相互理解が必要なのだが、とりわけcultureかracismか峻別し難い事柄については、ほとんど不可能と言ってよいほど難しい。

そうでなくても日本人はracismに鈍感過ぎる。つい先日も全日空の不時着陸の映像をアップロードしたYouTubeのページで事故の多いボンバルディア機を揶揄するつもりでCanadian Qualityだと発言してカナダ人全体を馬鹿したために叩かれていた人がいたと記憶しているが、そういう迂闊さは政治家や新聞記者だけの専売特許ではなく一握りのネット上の日本人にも共有されているようだ、とこれは蛇足。まあなんだ、大型機体より中小型機体の方が故障率・事故率が高いのは当たり前なわけで、そういう前提を無視してボンバルさんだけ頭ごなしに叱ってもね、という話もある。いやこれも蛇足。

まあ私は不可能だと思っているわけだけど。

昨年の時点で海外日本食レストラン認証有識者会議の設置についてとか言っているのでもうすでに今年度と来年度の会議費分くらいは予算がついていて引き返せないのは分かっている。だからすぐに止めろとは言わない。なるべく早くひっそりと水に流してほしいと思う。

また、日本人がアメリカ料理を何となく理解した気になっているのはマクドナルドやKFCやミスドのおかげなのだから、正しい日本食を手っ取り早く広めたければ外食チェーンをテコ入れすればいいだけだという別の考え方もできる。私はそれでいいんじゃないかと思う。そういう保護主義的な施策の受けがどうしても悪いようだったら、海外展開する外食チェーンに益体もない認定シールでも配ればいい。野暮の極みと言われようとも。

About Me

My Photo

つくばで働く研究者

Total Pageviews

Amazon

Copyright 2012 Ogawa::Buzz | Powered by Blogger
Design by Web2feel | Blogger Template by NewBloggerThemes.com