Sep 16, 2003

阪神の優勝による経済効果

阪神が無事優勝した。まあドラゴンズファンなのでどうでもよいのだが。

シーズン当初の阪神の調子が良いと、しばしば「阪神の優勝による経済効果」が話題にされ、りそな総研だかUFJ総研だかの怪しいアナリストが出てくるわけだが、そんなものは果たしてあるのだろうか。不思議なことに、彼らが「阪神の優勝による経済効果」と言うとき、それは大概阪神関連の産業の規模の拡大、つまり集客や優勝セールにまつわるさまざまな消費の増加とその波及的効果のことを意味している。

普通に考えたら、阪神の試合に見に行って散在した人はガンバやセレッソの試合を見に行かなくなるだろうし、家で野球の試合を観る人が増えれば普段の飲食に金銭を使わなくなる。つまり、人々の総所得と貯蓄率が一定と仮定するなら経済的な効果はないと考えるのが自然な感覚に思える。

阪神関係の産業が活発化し、それに従事する人が増えた結果、総所得が増加するような気がするかもしれないが、上で述べた例のような代替効果として停滞する産業に従事する人々の所得は低下するので総所得は変わらない。総所得が増加するには、従来に比べて阪神関係の産業に対する投資が増加する必要がある。例えば、阪神関係のグッズの製造に関わる設備の購入や運搬に必要な車両の購入や号外を印刷する印刷機の購入(とは言え、せいぜいリーグ優勝と日本一の2回分の号外を印刷を行うために新たな投資をするとは考えにくい)などが必要である。しかし、折からのデフレを考えればこうした設備はすでに過剰な状態にあったり、製造は海外で行われたりするため、簡単に投資が増加する状況にはない。

ということは自然に考えて、「阪神の優勝による経済効果」は貯蓄率の低下を前提とする。では、実際貯蓄率は低下するのか。いったいどれだけ低下するのか。ミクロな行動としては借金をしてでも阪神グッズを買い漁る人もいるかもしれないが、当然マクロには無視し得るだろう。

ところで阪神の優勝による経済効果の予測値は1000億~6000億。すごく多いような気もするが、愛知万博は1.4兆円、長野五輪は2.3兆円、ワールドカップは3.2兆円。来年度予定されている日銀券の刷新による効果も1.5兆。これらは公共事業だから巨額になるのはある意味当然なのだが、阪神優勝の効果も高が知れており、直接的には景気浮揚に繋がりそうにないことの傍証になるだろう。

ところが、たった一個人の事件で阪神優勝の20倍以上の巨額の経済効果を生み出した(ことになっている)例がある。それは、皇太子夫婦の出産による経済効果で14兆円と算出されている。実際、ほんとかよ? という気もする。が、この「事件」は単に世相を明るくしたという曖昧な雰囲気的な寄与よりは、もう出産を諦めていた夫婦に高齢出産への道を開いたという事実によって評価されるべきであるようだ。つまり、まず人々はこの事実をなかなか忘れないので効果は比較的持続する。また、高齢(=高所得)層の出産は直接的にはかなりの消費の拡大を意味する。もし出生率の低下をいくばくかでも抑えられるような効果を持ち得るのなら将来の経済規模にも影響することになる。

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