Dec 9, 1999

SWAN vs. アラベスク

アラベスク第一部上巻、ようやく自宅の混沌の海からの救出に成功したので、ここんとこ読んでいたSWANの感想をそろそろ…。

実のところ、有吉京子の「SWAN-白鳥-」は連載雑誌(週マ)を一時期読んでいたにも拘らず、あまりの絵の濃さ加減にそのページをほとんど飛ばしていた。そんなわけでSWANはほぼ初読。結論から言って、素晴らしい。何が素晴らしいって、21巻にも及ぶ長編をバレエだけをねたに、しかも、ずーっと一人の少女の成長物語として描き続けたことである。

SWANは、強力なライバルの出現、厳しい練習の末の勝利、そして次のステップへというルーチンを繰り返すため、バレエのスポ根まんがと呼ばれる。スポ根はエスカレートする宿命を負っているが、SWANの場合には「バレエまんが家」有吉京子がその都度技術的裏付けを提示することで、スポ根まんがにありがちな過剰なエスカレート感を打ち消しており、通して読んでも飽きがこない優れた物語になっている。

一方、残念ながら私はSWANの登場人物のほとんどすべてに魅力を感じることができなかった。これは心理描写が類系的に過ぎた、あるいは好意的な言い方をすれば、ダンサー中心に過ぎたということに尽きる。

80年代の少女まんがに慣れすぎた私は、しばしば登場人物の心理行動だけをはたから見下ろすような読み方をするし、同じような心理描写が繰り返されることに耐えられないのである。

さて、もう一方の「アラベスク」であるが、第一部は基本的な展開がSWANと共通である上、単に2巻分と14巻分という量的な差異を考慮に入れたとしても圧倒的に堀り下げが不足していて物語上の深みもない。が、第二部になると状況は一変する。基本的なスタンスは踏襲しつつも、社会制度や境遇や狂気を描くことが中心になっているのだ。特に最終盤になって登場する極めて難解な心理行動を示す女性ピアニストが非常に面白い。このような心理行動ベースの物語がこの後の山岸涼子の基調となっていく。

About Me

My Photo

つくばで働く研究者

Total Pageviews

Amazon

Copyright 2012 Ogawa::Buzz | Powered by Blogger
Design by Web2feel | Blogger Template by NewBloggerThemes.com