Sep 5, 1999

Eyes Wide Shut

ようやく、Eyes Wide Shutを見た。面白かった。この話は倦怠期を迎えた夫婦を描いたものだが、実質的に男性側の性的心理に関するdéforméと言ってよい。冒頭のシーンから明らかなように極端なまでに男性の視点から描かれており(密着していると言ってもよい)、かつあくまで心理に関する映画であるため、女性観客や単なるエロ映画を期待している若年層に受けが悪いのは致し方ない。もちろん、悪いのは観客の方である。

カメラがよい。Kubricの映画はどちらかと言えば適切でないカットを使いがちで、観客を戸惑わせることも多く、またそれが彼のexoticismでもあったのだが、ともかくこの映画ではカットが的確で接続もよい。セックスシーンの効果については、照明がオレンジっぽいのか、ノイズを載せるときにオレンジが強まるように色を落としてあるのか定かではないが、一方Kubricらしい発明があるわけでもない。

最後にこの映画が男性の視点から描かれているため、男性の期待するような女神のように神々しい体型をしている必要があった(Kubricはそう考えたろう)。ニコール・キッドマンを始めとする女優陣は、それに「一様に」適っていた。この事実を確認するにつれ、私は思わず微笑まずにはいられなかった。言い訳がましいが、私の好みはもう少し違うところにある。

追記:
中年にならないと分からないリアリティってのも(多分)ある。私も彼らのリアリティを共有できないのでカリカチュアとして見るしかない。心理描写が主眼の映画で物語を求めるのもどうかと思うが、(以下はちょっと慎重に括弧の対応などを考えて読んでね) 「俺(トム・クルーズ)って昔はナイスガイでならしてたんだけど、近頃性的魅力がなくなってきたんじゃないの」という当初の主人公(観客)の見解が紆余曲折を経て、少しずつpositiveに改まったら良かったの? そんな中年グローインアップ物語こそ明白に陳腐というべきものだが、この物語では「不安→妄想→やみくもな行動→(挫折?)→不安」というループから結局のところ抜け出せない。中年に不安を煽るのに適切で、中年でない人にそういう不安の実在を理解させるのに効果的な物語ですよね(後者に関しては疑問も残るが、しかし…)。だいたい中年は無闇に成長してはいかんっ。

さらに追記:
「体験」の乏しい人は「情報」を極端に求める傾向がある。体験と情報の前に「性」を補ってみて ;-) しかし、実際に勇気を振り絞って手に入れてみると陳腐なものだったり、大したことはない場合がほとんどだ。EWSでの仮面パーティはまさにこういう陳腐なものの象徴であって、それをことさらに陳腐だと指摘するのは的を外している。この話は止めにしよう、読者のタブーに触れている気がする。

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