Oct 23, 1998

OOPSLA 98

1998-10-17

さていつも通り箱崎で小銭を作り、チェックインし、バスに乗って搭乗開始20分前くらいに成田へ。早田・伊藤と合流し、搭乗口まで行くと、江戸川学園取手高校の団体様が隊列をなしている。げっという感じだが、彼らは尻子玉を抜かれてしまったように(©西原理恵子)おとなしい。後に千葉ネイティブな増原さんに聞くところによれば、彼の受験の頃は橋にも棒にもかからない高校だったのだが、特待生制度を導入して2,3人ほど東大に入れてしまって以来、何だか受験校然とした学生が集まるようになってしまったようだ。気を取り直して搭乗しようとすると、何と手荷物が大きすぎるらしい。がーん、これだからJALは。

往路の映画は「City of Angel」。眠さを堪えて義務感だけで見た(映画館ではどうせ見ないし)。結構ダメ。ファッションもないのでコテコテメロドラマ。オチは最初の20分で分かる。やたらにアップの絵が多いので、メグ・ライアンの顕著な衰えぶりと、ニコラス・ケイジのどっから見ても間抜け面ぶりをひたすら確認する作業。でも映画館で泣く人はいるに違いない。Alanis Morissetteの歌が彼女にしては抑制されていて大変良い。帰りはトゥルーマンショーらしい。これは楽しみだ。

席は映画のスクリーンの前で足が伸ばせず、かつ隣がカルガリー在住の中国系の大男(彼は結構落ち着かない人で、話しかけてきたり、音楽に合わせて歌ったり、手を叩いたり、指揮したりする)で大変難儀した。また、通路を挟んで隣の中国系女性がやはり何だかやたらと目くばせしてきて不気味(こわいよー)。そうこうして着く頃には結構気分を害していたので、どうも英語がよく分からないらしい中国系おばさんに広東語で「上の荷物を取ってくれ」らしいことを言われた時には、思わず「What can I do for you?」と意地悪く尋ねてやりたい気分に駆られたが、止めたのであった。ま、それはともかく、件の高校生たちは距離も離れていたこともあって至って静か。

空港に着き、安くダウンタウンに行こうと思ってAirporterバスを探していると筑波大の千葉さんとばったり出会った。残念ながら千葉さんとは別行動。走っている車は米国車と日本車ばかり、たまにベンツも見かけるが、BMWに乗っているのは明らかにカーキチと分かる。端的に言って米国の自動車政策のしわ寄せが見られるわけで、北米で生産された日独車が米国内ではなく、近隣国をマーケットに消費されているのだなと妙に納得した。マツダのMPVなんて東京で見たことがない車まで走っているし。

Water Front Centre Hotelに着いてチェックインだけしてダウンタウンを散策。Pacific Shopping Mallをぷらぷらし、そこのFoot Courtで無難な食事、と言っても各人によって無難さが異なったようだが。風邪気味な気がしたのでドラッグストアで薬を買ってホテルに戻る。30分くらい休むつもりが、2時間も早田が爆睡。私の風邪はすっかり治ったっていうより、どうも二日酔い気味だったらしい。松岡さんからの電話をきっかけに起きて、対面のPan-Pacific HotelのConvention Centerに行ってレジストレーションを済ます。松岡さんと合流して、ガスタウンの方をぷらぷらしてタイ料理屋 泰園で食事。結構高かったが、よろし。

ホテルでネットワーク接続を試みる。データリンク用のコンセントが電話用の隣に空いているのだが、ちっとも繋がらない。電話の方を使ってかけようとしてもうまくいかない。で、結局あきらめる。

1998-10-18

翌朝、Water Front Center地下のMallにて、私はStarbucksのコーヒーとスコーンでコンチネンタルな朝食。この日一日、Workshop on Reflective Programming in C++ and Javaに参加する。OpenJITの話をしたり、杉田くんの発表があったりした。その他の内容に関しては、そのうち報告することにしよう。昼は、コテコテアメリカンカフェテリア(表にいかにもなPOPつき)で早田・伊藤の他、増原・杉田とともに食事。まあ、こんなもんでしょう。

夜は、Workshop Receptionということで、Pan-Pacific HotelのAtriumで食べる。各種肉・魚料理など。かなり贅沢。というよりこんな贅沢なレセプションは初めてだ。このレセプションはちょっと面白い趣向があった。入口で背中に業界の有名人の名前が書かれた札が張られる。この札は本人は見られない、人にWhat's my name?と聞いてもいけないという制限つきで、普通の会話のみで自分の名前が分かったら、申告することで粗品がもらえるというもの。ちなみに早田くんの背中にはGail Murphyの札が張ってあった。うーん、彼女ってそんなに有名人だったのだ。何年か前にホストしたことがあるのだが、結構失礼なことしたかもしれない。Atriumはかなり広いのだが、それでも人が多すぎてぐちゃぐちゃ、あまり食事はちゃんとできなかった。

1998-10-19

今日は私は基本的にフリー。Water Front Centre Hotelの地下でコンファレンス朝食で例によってコンチネンタルな食事。Doctoral Symposiumに参加する松岡さんとばったり会ってしまった。それはともかく、午前中用のない早田と一緒にガスタウンを含むダウンタウンを散策。美術館に行こうとしたら、休館日。他にEaton'sというデパートなどを回る。しょうがないので、バンクーバーの誇る、スカイライナーじゃなくて、スカイxxxに乗ってMetrotownのMallに行くことにした。

Metrotownはバンクーバーの南東にあって、まあバーナビーに近い。ちなみにバーナビーは昔のBritish Columbiaの中心都市で、古い町並みが残っているきれいな街らしい(Adrian談)。Metrotownは夜結構治安が悪くなりそうな、グレーテストなShopping Mallであって、北米で有名な幾つかのデパートが入っている。いろいろ見て回ったが、元より買いものする気がなかったので何も買っていない。Searsの中の大統華超級市場前で記念撮影。

昼は、ここはネタ作り用と割り切ってMetrotownの中のTropical Forestなんとかという勘違いイタリア飯屋。ここは要するにディスニーランドの中にあるレストランみたいなコセプト。熱帯林風の奇抜なインテリア、象の模型や、やたらで大きい蝶の模型が時折パフォーマンスをしたり、スモークが焚かれて照明がピカピカ光ったりして嵐を演出したり。うーん。味はというとまあそういうレストランの標準値、すなわち最悪。

再び会場に戻って、チュートリアルに出ようと思ったのだが、OOPSLAのチュートリアルは基本的にハズレである。オブジェクト指向分析系のソフトウェア工学ものばっかり。しょうがないので、Agent関係のワークショップに入り込んで聞くことにした。つ、つまらん。当り前すぎだし、デザイン的に優れているわけでもない。居ても立ってもいられず、3時過ぎに退席してEaton'sのそばの本屋に行き、コーヒー+ソファ+本、というスタンダードな快適環境を手に入れる。大学1、2年くらいの代数の本を読んでいた兄ちゃんと世間話をして暇潰し。

みたび会場に戻り、Pan-PacificのAtriumでやっていたTutorial Receptionに参加する。Workshop Receptionと同様の内容、寿司があった。結構暇を持て余す。その後、Robson Streetにあるレストランに、ただワインを飲みに行くためだけに行く。面子は小川、早田の他、慶応の杉田くん、OMGの鈴木さん、テクノロジックアートの長瀬さん、千代田生命システム何とかの二人。全然飲まない人がかなり混じっていたので結構飲めた。British Columbia産のシャルドネとピノノワール(名前を失念)。前者はかなりダメ。後者は良かった。

鈴木・長瀬の両氏は要するにソフトウェア工学の人。よく分からないキーワードを使って話していて、時々インタラプトしてみたが、要するにソフトウェア工学にありがちな「メタ」プログラミングの規格の話。結構問題あるなと思ったのが、鈴木氏がワークショップか何かで話したというネタ、オブジェクト指向+リフレクションを用いてゲノム情報などを表現するというもの。そんなもの再帰的なデータ構造でもっとスマートに済ませられる。よっぽど「センスないね」と言ってやろうかと思ったが、抑えた。でも国内の研究会なら間違いなく言っている。

有り体に言うと、研究とか技術開発というものは、(1)まず実践があり、(2)それを要求仕様としてドキュメント化し、(3)それを具体化した実現仕様をドキュメント化し(このプロセスには十分な技術性・合理性が求められる)、(4)しかるのちにそれを実装したり、製品として完成させるという流れが必要になる。この種のことが最初に言われたのはQuority Controlの分野においてだが、対象となるプロダクトが言語処理システムであっても、アプリケーションであっても同じであろう。ユーザーインタフェース研究にも同様のことが言える。ドキュメント化されていない実践から一足飛びに「面白いから」実装してはいけない。特に言語処理システムを始めとするシステムソフトウェアの研究をしている我々はアプリケーションに関する実践や知識を欠きがちである。それゆえ、慎重にならずにはいられない。

鈴木氏の話に戻ると、(2)のプロセスがよく分からないこと(だからそういうrequirementがあるのかどうかすら不明で非常に違和感を覚える)と、(3)のプロセスでの合理性が不足している点が大変気になる。インタプリテーションのオーバーヘッドを償却するような利点が十分でなければ、あるいは他の手法による実現に対する利点が十分でなければ、私としては工学的研究としての意味を見出しにくく、リフレクションという玩具を使って悦に入っているだけの独り善がりと思わずにはいられないだろう。

その鈴木氏がSt. Maloで開かれるReflection '99に出そうとか言っている。狭いコミュニティなので全く問題ないのかもしれない。例えば、Reflection on real application的なセッションがあるかもしれない、Functional Programmingと同様に。ともあれ、Mont St. Michelは、3月にRennesまで行きながら、行き損なったので行きたいよなあ。ねえ、早田くん。

1998-10-20

やっとOOPSLAも本番という感じ。メインのテクニカルペーパーの会場がすごい。基調講演の会場と同じなので、3枚スクリーンがあって、左右のスクリーンに話者が話している様子を収めている2台のビデオカメラからの画像を映し、中央のスクリーンにスライドを映す。そして、話者が話す場所は、1mくらいの台の上。これじゃ、緊張するなと言っても緊張する。

昼は、Pan-Pacific Hotelの舳先状になった部分のシーフードレストラン(Pan-Pacificはちょうど湾に突き出した帆船をイメージしてデザインされている)。サンドウィッチで済ます。この日はひたすらテクニカルセッションに出る。今年のテクニカルペーパーの傾向だが、まずJavaであり、次にTypeである。よって凝ったランタイムシステムとかいった類の話がない。私にとっては少々つまらない内容であった。テクニカルペーパーについては別の機会にレビューすることにしよう。

夜は、Exhibitor's Reception。Exhibitionの会場で立食。この立食は前の2日に比べて明らかにしょぼい。しょぼすぎる。ワインや地ビールも明らかに格が下がっている。サンドウィッチで適当に腹を膨らませて、Pan-PacificにあるIMAX theatreに行ってSecret of Egyptとかいうフィルムを見る(これはひょっとすると前日の話かな、うん、間違いなくそうだ)。

しかる後にロビーでたむろっていると、松岡さんが来て、IBMのレセプションのチケットをくれた。Gas Townの入口(というのはホテルのごく近所)にあるSteam Worksというパブ。

Steam Worksは大満足。生バンドの演奏があり、コテコテ、すっかりコテコテ。地ビールの樽がたくさんあって、これもコテコテ、実にコテコテ。とっても間違ったところに来てしまった気分で盛り上がれる。食事はおつまみ系。牡蛎やオマール貝、寿司、サンドウィッチで腹を満たし、飲む。ワインがおいしい。カクテルのベースの酒量がこの手の店にしてはかなり多い。久々に飲みたい酒だけ飲んで酔いましたね、私は。

いい気分でトイレに行ったところ、気分の悪い人がいて、ジャケットの袖口にモドされてしまった。かなり嫌な感じ。深刻そうに謝られてしまったので、問題ないよと言う。日本でこういう目にあったら、間違いなくクリーニング代を貰っているに違いない。レセプションがお開きになった後、知合いになったAdrianという中国系カナダ人、Ikumiという日本産の珍獣とともにSteam Works前で写真撮影。だから近いと言っているのだが、AdrianのCivic Sedanに乗ってホテルまで連れて行ってもらう。伊藤くんはなぜか先にホテルに戻っていた。

そうでした、忘れていました。Steam Worksのウェイトレスで一人だけかわいい娘がいました。このVancouver旅行で唯一かわいいといえる人だったと断言します。早田くんのディジタルカメラに残っていないのが、この旅行を非常に心残りなものにしました。

1998-10-21

レセプションがあった。

1998-10-22

夜Cafe de Mediciという高級イタ飯屋に行く。

1998-10-23

さて、もう帰る日。外国人の我々はカナダの連邦税の割戻しを受ける権利がある。チェックアウトのときに、その申告用紙をくれと言ってもらう。が、この文章の執筆時点ではすっかりその申告権利を喪失しているのであった。

朝食はホテルのカフェで食べても良かったのだが、土産ものが買いたいという要求のある人もいて、その願いは叶わず、ダウンタウンでベーグル屋を探して食べる。チーズべとべと、やはり好きにはなれない。シャトルバスの時間までホテルの近所のショッピングモール(なぜか大学が一部入っている)で買物。

復路の映画は「The Truman Show」と「つり馬鹿日誌10」。後者は言わずもがな(ただし英語で字幕が出るので見るつもりがなくてもストーリーが頭に入ってくる)。前者はコンセプトの勝利で必見。NEWS 23での筑紫とウィアーのトーク通りの内容で、びっくりするようなことは何も起きないコメディ。ピーター・ウィアーは若干説教臭い(どのように説教臭いかと言うとドラえもんのように説教臭い)と前々から思っていたのだが、これもそう。プロデューサ役のエド・ハリスが「外の世界には真実がない」とか「私は創造主」的発言とか、シルビア役のナターシャ・マケルホーンの「彼の人生はあなたのものじゃないのよ」的発言。の割にトゥルーマンワールドの崩壊に際しては別に効果的な発言はない。ローラ・リニーの妻メリルが面白い。

翌24日空港に着く。税関でまた荷物を開けられた。屈辱。

About Me

My Photo

つくばで働く研究者

Total Pageviews

Amazon

Copyright 2012 Ogawa::Buzz | Powered by Blogger
Design by Web2feel | Blogger Template by NewBloggerThemes.com